子どもたちの健全な咬合育成を行う歯科医師団体

子どもの咬合を考える会子どもの咬合を考える会

子どもの予防矯正治療は、全国で受けることができます。お近くの会員医院にご相談下さい。

小佐々フィロソフィを探る!

      2018/07/03

加藤:小佐々先生、この度は“不正咬合予防のための診療”出版おめでとうございます。
当会員の待望の著書であり、また広くGPに訴える内容のようですが、改めてこのホームページからのメッセージをお願いします。

小佐々:ありがとうございます。出版までに5年もの歳月をつやしました。
いささか長きの感はありますが、この間は当会で会員の皆様方と研鑚を重ねてきて、目指ざすものが何であるかがはっきりと熟成した時でもあったと思います。

歯科の3大疾病はむし歯・歯周病・不正咬合でありますが、むし歯や歯周病で困る時代は過去のものとなり、今や不正咬合で困っている時代です。
子どもの70%から80%が不正咬合になってきているのです。

これに対して結果主義・How to で対処する時代でないと思われます。
当会で目指さなければならないのは不正咬合の予防です。
予防にフォーカスを当てる会、そこにこそ存在価値があると思われます。

加藤:表紙のイラストがユニークですね。
本も写真が多く非常に解りやすい著書となっていますが、執筆されるきっかけをお聞かせ下さい。

小佐々:表紙はグローバルベースでの思考という意味で、私の朋友にお願いしたもので、本の主旨に合致したものになったと大変に満足しております。

執筆のきっかけは、私の歯科人生はDr. Beachと共にあると言っても過言ではありません。
Dr. Beachのコンセプト(概念)を少し紹介していただきたいという出版社から依頼があったのが、きっかけです。

Dr. Beachは人類救済の医療の在り方を説いた実践哲学者で、その原理・原則は崇高な文化遺産と思われます。
その実践が予防矯正と合致するところがあり、役不足ながら引き受けた次第です。

加藤:さて、子どもの咬合を考える会では3Dモジュール矯正をメインにしていますが、このあたりをお話しいただけないでしょうか。

小佐々:当会の沿革に触れることになりますが、Dr. 各務 の3D の講演を聞いた数人が、抜歯矯正に懐疑感を懐いていて、子どもの第一大臼歯を3次元的にコントロールできる3Dテクニックに魅了され、これをマスターすれば子どもを救える、今までの成人矯正ではダメだということで会の発足となったのです。

今年で早くも18年目になりますネ。

子どもの悪くなった歯並びの原因を知り、健康な咬合育成を促すことを目的として研鑚を図り、その成果を広く歯科界にまた一般市民にアピールし、啓蒙を図ることを目的としております。

会の共通項は何か?また目指す目標は?

子どもの場合、 う蝕20%・歯周病15%・不正咬合75%

この現状をどうする! 子ども10人中、7~8人は不正咬合

   

加藤:この結果を見ると、おのずと会の方向性が見えてきますね。
20年近く前から先生は不正咬合を何とかしようと考えられてたのですね。
強い執念と言うか理念が伺えますね。

小佐々:誰が・何を・どうするかということを思考するのは、社会的責任を担っている限り歯科医師として当然のことではないでしょうか。
歯科医師の診療理念としてDr. Beachの “Being & Doing”というのがあります。
日本語にすれば「存在と行動」ということになりますが、歯科医師としての真の価値を求めて、真の医療を求めて、世に貢献することが求められます。
GPは広い視野を持って心の医療・優しい医療を目指すと共に安全な適格な医療を目指すべきでしょう。
単に目の前の患者を治すということに止まっては拙いのです。


治療から予防へ、そしてメインテナンスへ。

不正咬合に対して今は治療主体になっている。
これでは子どもたちは救えない。

だから我々は予防矯正(不正咬合の予防)をしなければならないのだ。


加藤:予防矯正?新しい概念だと思いますが・・・・

小佐々:予防矯正とは、Preventive Orthodontic と言われていたものと同じだと思いますが、私は不正な歯並びの原因である機能的な面、姿勢的な面を見定め、その原因に対して先ずGPとDHとが改善を図るための指導、支援また療法をしっかり行い、次に狂った形態を成長発育に合わせて修正して行くことだと考えております。
GPが行う矯正治療は基本な矯正技術を用いて、不正咬合の予防とその後のメインテナンスに尽くすべきであり、Specialist は積極的な高度な治療に専念すべきである。 その意味でGPは原因療法に、Specialist は結果療法に専念することになると思います。
GPと Specialist とでは目指すところが全く違うのです。

加藤:このGPと矯正専門医の連絡を構築する必要がありそうですね。

小佐々:GPが矯正専門家の後を追随するのではなく、GPの予防矯正に専念し、連携し合い、共に相利共生の関係でなければならないと思われます。
そして、患者(社会)に健康・安心を与える信頼を得る医療体制を整えるべきでしょう。


GPの限界と可能性 → GP道を考える

加藤:GPのスタンスをもう少しお聞かせください。

小佐々:GPは総合医として広い視野で的確な診断を下し、最適な治療が出来ることが望まれるが、専門的な医療技術は持ち合わせていないので、Specialist に紹介するのが望ましいのです。
自分の能力を超えて可能性で治療をしてはならないのです。
患者の立場に立って最適な選択肢を提供すべきです。
GPの極めるべき道は総合医を目指すべきで、高度な医療技術を極めるのではないことを理解すべきでしょう。
予防に目を向けないと子どもたちは救えないのです。
GPじゃないとできないことと思われます。



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