歯の先天欠如について
2018/07/03
永久歯は全部で親知らずを除いて28本存在しますが、これらの歯が過不足なくきれいに並びしっかり咬めて機能できることが、子どもの健康なお口の成長にとって重要なことは言うまでもありません。
しかしながら生まれつき歯の数が足りない(歯の先天欠如と言います)によって、かみ合わせや歯並びに問題が生じるケースがまれにみられます。
今回は歯の先天欠如についてご説明します。
原因
食生活の変化による退化現象によるものという説がありますが、実のところはっきりしたことはわかっていません。
ただ遺伝的な傾向があることは確かで、親や兄弟に先天欠如が見られる場合、それが出現する確率は高いと言われています。
出現率
日本小児歯科学会の調査によると一本でも先天欠如がみられる人の割合はなんと10.1%と10人に1人の割合となっています。
部位別の発生頻度は6歳臼歯の手前にあたる第2小臼歯に起こる確率が最も高く、次いで前から2番目にあたる側切歯の順となります。(親知らずを除く)
上あご(4.37%)より下あご(7.58%)で多く、左右の差は小さいとされています。
1本だけのケースが多いですが、複数本の欠損が見られることも少なくありません。
弊害
永久歯の先天欠如がみられると審美的、機能的に問題が起こる可能性があります。
もし左右どちらかだけに欠損がみられたら歯列が左右非対称となり見た目にも不自然になりますし、仮に乳歯が脱落して、その隙き間を空いたまま放置しておくと、隣接した歯が傾いたり、噛み合う相手の歯が伸び出して噛み合わせが悪くなります。
つまり安定した咬合状態を確立し、維持することが難しくなってしまいます。
対策
残念ながら先天的な疾患であるため予防することはできません。
もし先天欠如歯があった場合、自然閉塞を期待することもありますが、積極的に矯正治療やブリッジもしくはインプラントを単独または組み合わせて治療することも可能です。
また永久歯の先天欠如が見られる部位の乳臼歯は徹底的に虫歯予防を施して大切にしてあげれば50~60歳程度までは保存することも可能です。
どちらにしてもできるだけ早い段階で歯の先天欠如の存在を把握して将来の歯列の見通しと対策を立てることは意義のあることと思われます。
まとめ
歯の先天欠如は5~6歳になればレントゲンで調べることが可能ですので気になる方、または家系に先天欠如が見られる方は一度歯科医師にご相談されることをお勧めします。