子どもの咬合を考える会 第25回特別講演会 (2022年4月10日)を終えて
この度は、京都テルサで開催されました第25回特別講演会にご参加いただき、誠にありがとうございました。会場受講、オンライン受講合わせて350名という多くの方々にご参加いただきまして、無事、終了することができました。心より御礼申し上げます。
今回は講師に横浜市ご開業の元開富士雄先生をお招きし、『子どもの口腔発達を考える
–口腔の原理・原則を知り口腔発達の法則を見つけ出す−』と題しご講演いただきました。
まず午前の部では『身体運動としての口腔機能メカニズムとその特性について』というテーマでアカデミックな内容を中心にお話しいただきました。口腔機能の最大の特性は「意識運動」と「無意識運動」のどちらでもできる自動制御システムいわゆるオートマ制御であること、身体運動の本態にあるのはリズム運動であること、互いに調整しあって複数の筋が活動する協調運動などの重要性についてご講演いただきました。
午後の部では、『体幹や姿勢の発達プロセスと口腔機能との関連性』についてより臨床的な内容をお話しいただきました。具体的には、離乳において最も重要なことは子どもに「人間としてどう食べるのか」を学ばせ、子どもが食べようとする意思を尊重しながら必要に応じて介助することが大切であること。舌位については、舌尖部をスポットに置く、軟口蓋と奥舌の密着、舌根部の直立ということが重要であるということが再確認できました。
最後に子どもの知覚が良い悪いはあるとしても、口腔機能を形成する軟組織や硬組織が何らかの変化をしたのは個々の子どもの身体と環境の間に、アフォーダンスが存在するのではないかということから、個々の子どもに対応した機能的矯正装置が必要であるということなど、早期治療の有効性を再認識することができ、参加された方々にとって実りある一日になったことと思います。
大会長 西田 尚人